スペシャル

チョコレートがあるからこそ気づく、ビールの新たな味わい
――1月22日(火)限定発売・マスターズドリーム「オリジナルチョコ付3瓶セット」監修・三枝俊介さんインタビュー

2019年1月15日

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カップルはもちろん、家族や友達同士でもチョコレートをともに味わうことも多い、2月14日の「バレンタインデー」。これに先駆けた1月22日、マスターズドリーム「オリジナルチョコ付3瓶セット」が発売されます。

セットとなっているのはただのチョコレートではなく、日本を代表するショコラティエ・三枝俊介さんが監修したもの。そこで、三枝さんのお店「ショコラティエ パレ ド オール」(東京・丸の内)でこのチョコレートに込められた哲学やビールとチョコレートの愉しみ方を教えていただきました。

私は洋菓子の世界に入ってから40年ほど経ちましたが、やればやるほど奥の深い世界だなと毎日のように感じています。特に、良い素材と出会ったときは難しさを感じる一方でわくわくしますね。本当に良いものが見つかると「ほかの材料と混ぜたくない」といった思考が働くのです。別の要素が入ると、主役となる素材そのものの良さが失われてしまいますからね。

もちろん、ベストな素材が手に入らなかったとしても変わらぬ美味しさを保ち続ける――それもショコラティエの存在意義ではあります。しかし、良い素材に余計なものを入れず、つくり手の技術と経験をもってストレートな味わいを表現するのが、一番の腕の見せ場といえるでしょう。

そういう意味では、醸造家もショコラティエも共通するところは大きいかもしれません。マスターズドリームの原材料欄も、やはり「麦芽」「ホップ」と書かれているだけですよね。これがチョコレートならば、良いカカオだけでいかに美味しくつくれるか、ということです。私自身、自らがつくるものだけでなく、飲食料品を見たときに原材料欄がシンプルであると、素晴らしいな、と感じます。

一方で、食べ物、飲み物を味わう人々が生きる時代や環境によって、「美味しい」と思えるものは変わってくるということも、つくり手の頭に入れておかなければならないと感じます。たとえば、昔の日本でつくられたビールと今つくられるビールとでは、おそらく味わいはかなり異なるでしょう。もちろん、昔のビールならではの良さはあり、つくられた当時の人々も喜んで飲んでいたのだと思います。しかし時代が進むごとに、先進的な生産技術が取り入れられ、同時にヨーロッパなどの伝統的な製法にも倣うようになりました。その末に、世界的にも日本のビールが認められるようになったということですよね。

チョコレートは今、ちょうどそうした過渡期にあると受け止めています。ちょっと前はカカオの香りに甘さをプラスしたものが、多くの人に支持されました。しかし今は、さまざまな個性を打ち出したチョコレートが登場しています。すべてが受け入れられているわけではありませんが、これからチョコレートの美味しさは、もっと幅が広がっていくのだと思っています。

■ビールとのマッチングを支える「ドミニカ産ファインカカオ」

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1月22日に発売されるチョコ付3瓶セットのパッケージ

今回マスターズドリームの「オリジナルチョコ付3瓶セット」、そのチョコレートの監修をさせていただきましたが、実をいうと物理的な問題から難しさを感じていたのも事実です。というのは、ビールは普通、冷やして飲む場合がほとんどですよね。口の中が冷たい状態だと、チョコレートは固くなり、溶けにくくなってしまうという問題があるわけです。

でも、やったことのない「仕事」「チャレンジ」は常に引き受ける心構えでいますから、今回もその気概で監修いたしました。

そして最終的につくり上げたのは、ビタータイプのミルクチョコレートです。ビールとのマッチングを考えたとき、冒頭でお話したようなカカオの良さをそのまま出すようなビターチョコレートだと、どうしてもチョコレートの味わいがビールよりも勝ってしまいます。マスターズドリームはビールの中でもきちんと〝主張〟のあるものだと思いますが、だからこそチョコレートの味が勝ってしまっては今回の試みの主旨から外れてしまいますよね。そこで、まろやかな味わいにするためミルクを使ったわけです。

かといって、チョコレートの醍醐味であるカカオの香り、味わいをきちんと表現することも忘れてはいません。まず、カカオ分は45パーセントにしており、これは普通のミルクチョコレートよりも高い割合です。メインの素材となるのは、ドミニカ産のファインカカオ。ドミニカ産は、ナッティな味わいが特徴ですが、それが強く前面に出るわけでもないんです。極端に個性を主張するカカオではないということですね。

ファインカカオの対になるものとして、チョコレートを大量生産するときに使う「バルクカカオ」があります。ただ、これだとあまり個性がありません。上質なファインカカオでありながら柔らかな味わいで、ビールの味と喧嘩しない、それがドミニカ産を選んだ理由です。

チョコレート自体も薄めのタブレットとなっていますので、溶けるまでに長い時間がかかるといったこともありません。食べ方をこだわる必要はないと思いますので、「ビールとチョコレートの食べ合わせって、どんな感じなの?」といったようにちょっとでも気になった方には、ぜひお好きな飲み方、食べ方で試していただきたい。その上で、パレ ド オールに、私に感想を教えていただけたら、嬉しいですね。

■「アペリティフ」としてのビール・チョコレートの愉しみ方

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マスターズドリームに対しては「味わいがしっかりとあるビールなので、私だったら酔っていない、自分の味覚がしっかりとしているうちに飲みたい。『アペリティフ』といったのはそういう意味もあります」と三枝さん

ウイスキーやワインとチョコレートをマリアージュさせるという愉しみ方をご存じのかた、お試しになる方はかなり増えたように感じます。一方で、「ビールとチョコレート」となると、まだまだどう味わえばいいのかわからない、と仰る方が多いかもしれませんね。

ただ、ビール単体では表現しきれない味を補完する役割をチョコレートが担えると思っていますし、今回監修したものもそれを意図してつくっています。反対に、チョコレートが一種のフィルターのような存在となって、ただ飲んでいるだけでは気づかないお酒そのものの味を発見することもできるのです。

過去にも、サントリーさんと「山崎(シングルモルトウイスキー)と合うチョコレート」や「ボウモア(同)と合うチョコレート」を一緒につくったことがあるんですが、そのときもフィルターとしての作用が顕著に表れていました。チョコレートを間に挟むことで、ウイスキー単体では感じることのない柑橘系などの色々なフレーバーなどを発見できたのです。今回のビールでも、きっと同じ気づきが得られるはずと思います。

あと、私から愉しみ方を提案させていただくなら、ビールとチョコレートをアペリティフ(食前酒)に位置づけた食事の仕方が挙げられます。アペリティフというとシャンパンなどを思い浮かべる方がいるでしょうし、チョコレートは食前よりもデザートとしてのイメージを持たれる方が多いと思います。しかし、あえて食前にビールとチョコレートを味わうことで、体や気持ちにちょっとした満足感が生まれ、食事の味わいがより鮮明になってくるのです。

ビールとチョコレートの2つのマリアージュはもちろん、今回のセットでそうした食事の新たな愉しみ方もお試しいただければ面白いと思いますね。

三枝俊介(さえぐさしゅんすけ)

1956年、大阪府生まれ。1977年、洋菓子業界に入り、1990年に独立。1996年、フランス・リヨンの名店「ベルナシオン」でショコラを学び、以降はショコラティエとしての道を歩む。2004年、大阪・梅田に「ショコラティエパレドオール」を開店し、東京・丸の内、山梨・清里高原にチョコレートをカカオ豆から手作りする数少ないブランドとして店舗や工房を構える。

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