スペシャル
2020年9月 8日
「ザ・プレミアム・モルツ マスターズドリーム」で培った技術とサントリーシングルモルトウイスキー「山崎」で使用された木樽が融合した「マスターズドリーム〈山崎原酒樽熟成〉2020」がいよいよ10月にお披露目される。これまでは、ファンクラブ会員様向けのプレゼント提供とマスターズドリームハウスでのみ提供されていた〈山崎原酒樽熟成〉だが、今年は数量限定ながら抽選販売するにいたった。
今回は開発を担当したザ・プレミアム・モルツ若手醸造家・岡島高穂が、このビールにかけた想い、情熱を語る。
岡島高穂は、商品開発研究部に籍を置き、マスターズドリームやザ・プレミアム・モルツと日々向き合っている若手醸造家だ。
「ものづくりの世界では『現場第一』『現場主義』ということがよくいわれると思いますが、私たちは、日々ザ・プレミアム・モルツを、現場でビールの状態を見極めながら、真心を込めて製品に仕上げていっています。ビールの状態を見極めるというのは、素材である麦芽、ホップ、水の品質や酵母の状態を確認し、ビールの出来上がりの味わいを想像しながらビールをつくり込むこと。
素材の良さを最大限活かすことにこだわって、日々ビールづくりに取り組んでいます。」
自分の五感をフル稼働させ、ビールづくりに情熱を捧げる岡島。もちろん、〈山崎原酒樽熟成〉でもそれは同じだと彼は話す。
特に、このビールをつくる際に大切とされるのが、木樽の中の熟成中のビールがどのような状態であるか、という。
「ひと言で『木樽』といっても、1つひとつの樽の状態や個性は微妙に違います。同じ『山崎』というウイスキーを熟成させていたといっても、変わってくるものなのです。そうなると、同じビールを熟成させたとしても、それぞれの樽で熟成の仕方をコントロールしなくてはいけませんし、その上で最終的にブレンドさせたときにどのような味わいになるかをきちんとイメージしなければなりません。これが〈山崎原酒樽熟成〉の難しさであり、つくり手の腕の見せ所だと考えております。」
とりわけ、熟成工程において重要なのが「熟成期間を見極めること」であると岡島は続ける。一般的に、熟成させることで風味に丸みが帯びてくるといわれるが、熟成を見極めるとはいったい、どのようなことなのだろうか?
「木樽で熟成させることでビールの香りが豊かになる一方で、行き過ぎると苦渋味が強くなってきます。日々刻々と変化していく中で、ビールの味わいを狙いの状態に持っていくために、常に熟成させているビールの状態を見極め、温度などを適正に管理していくことが大事になってきます」
そうした苦労の末できあがる〈山崎原酒樽熟成〉2020を岡島は次のように評する。
「この山崎原酒樽熟成でしか愉しむことができない満ち溢れる余韻と重厚な香りを実現しました。木樽で熟成させることによるやわらかく華やかな香りと甘くなめらかな味わいを愉しんでいただきたいです。」
このように、岡島のきめ細やかな気配りがあって発売することになった〈山崎原酒樽熟成〉2020。その愉しみ方を本人に聞くと、最初に、家で飲むとき、店で提供される樽生で飲むときの違いを教えてくれた。
「まず今回は数が限られているとはいえ、〈山崎原酒樽熟成〉をお客さまに販売という形でお届けできることは、大変嬉しく思っています。お客さまに直接お届けするものは、専用の瓶で提供するので、そうした視覚的な"特別感"も味わっていただきたいですね。また、同じく視覚的な部分の話で、お店で飲まれるときはグラスにきれいな泡が乗った状態のビールが提供されるわけですが、こちらはこちらで瓶とは違った"特別感"に浸れるのではないかと思います。一人でゆっくり飲む、職場の同僚や友人と一緒に飲む、家で飲む、お店の料理と一緒に飲むといった飲用シーンの違いも含めて愉しんでいただきたいです」
料理の話が出たところで岡島に、〈山崎原酒樽熟成〉と合う料理は? と尋ねると「日本人の嗜好に合うようにつくりました」といった答えが返ってきた。
「この〈山崎原酒樽熟成〉は木樽熟成の特長がしっかりと感じられる味わいを目指して開発をしてきました。麦芽やホップ由来の味わいを大切にしながら、木樽熟成由来の甘く華やかな香りが感じられ、ずっと飲み続けたくなる美味しさを目指しております。その味わいには重厚さと繊細さが兼ね備えられており、例えば重厚な部分でいえば肉料理と合いますし、繊細な部分では和食や魚料理と合うと思います。
先にも話が出たとおり、木樽熟成ビールの大きな特徴は豊かな香りを有するところだ。自宅で〈山崎原酒樽熟成〉を飲むときは、「温度」に気をかければこのビールならではの香りをより愉しめると岡島は語る。
「通常のビールの温度は4〜5度くらいが美味しく飲めるといわれていますが、これはいわゆる『キンキンに冷えた』ビールの温度なんですね。一方で 〈山崎原酒樽熟成〉の場合は、これより少し高めの6〜7度くらいの温度で飲んでいただいた方が、香りがより広がって美味しく飲んでいただけます。」 「また、ゆっくりと時間をかけて飲むことも、〈山崎原酒樽熟成〉の愉しみ方です。というのは、時間が経てばビールの温度も上がってきますが、そうすると香りの感じ方や鼻から抜ける感じが変わってくるのです。別の表情を見せるということですね。豊かな香りと時間、それを堪能していただければと思います」
こうした岡島の想いを記憶にとどめながら〈山崎原酒樽熟成〉2020を飲めば、きっと満ち溢れる余韻と重厚な香りを愉しめるはずだ。
そして余韻に浸った後には、ビールのラベルにも注目していただきたい。アルコール度数が8.5%となっている。通常のマスターズドリームの5%より高い度数だが、決してそれを飲み手に感じさせない。この秘密を、岡島は次のように語る。
「アルコール8.5%というのが山崎原酒樽熟成にとって一番おいしい状態で飲んでいただけると考えております。木樽熟成ならではの香りと麦芽由来の味わいを愉しんでいただき、そのバランスが最も良いのがこのアルコール濃度でした。ベースとなるビールの味わいと木樽熟成による甘く華やかな香りがしっかりと感じられるからこそ、アルコールの高さを感じさせないことにつながっています」
このように、さまざまな"仕掛け"をも持つ〈山崎原酒樽熟成〉2020。醸造家が情熱を傾けられる源になっているのは、ファンがいるからこそであると、岡島はいう。
「2018年に〈山崎原酒樽熟成〉をつくったときは、直接お客さま、ファンの皆さまの声を聞く機会に恵まれたのですが、どの方も相当な期待をもってこのビールを飲んでくださっています。2018年までの〈山崎原酒樽熟成〉の評価を超えることはもちろん、そうしたファンの方々の期待を越えられる〈山崎原酒樽熟成〉2020を、ぜひ愉しんでいただきたいです。」