スペシャル

ジャパニーズ木樽熟成ビールの誕生には5年かかった 特別な「マスターズドリーム」をめぐる醸造家対談・前編

2017年9月15日

20170915_2_1.jpg

ひたすらにうまさだけを追い求める、サントリービールの醸造家たちの夢が詰まった「ザ・プレミアム・モルツ マスターズドリーム」。発売以来、多くのビール好きの心を捉えてきた味わいには、もうひとつの形があった。

それが昨秋に発表された「マスターズドリーム〈山崎原酒樽熟成〉」。「マスターズドリーム」で培った技術と、伝統のビールづくりに起源を持つ「木樽熟成」という手法で生まれた新たな夢の結晶だ。

本マガジンでは3回のシリーズとして、この「マスターズドリーム〈山崎原酒樽熟成〉」の開発にかかわったキーパーソンを取材。第2回目となる今回は開発チームの中心人物である、サントリービール株式会社 商品開発研究部の新村杏奈と、サントリービールの醸造家・秀島誠吾が登場。「マスターズドリーム」ブランドが考えるビールのおいしさの真髄について語り合った醸造家と開発者の対談の前編をお届けする。

■手探りで無から有を生む

――5年もかかった開発過程の苦労については、前回の記事で紹介しましたが、実は2016年の完成までには「山崎原酒樽」以外の木樽も検討されたそうですね。

新村:それはギリギリまで迷いました。「マスターズドリーム」はサントリーが培ってきたビールづくりの技術や歴史の結晶ですし、木樽もサントリーにとって重要な存在です。その2つを掛け合わせるのですから、ブランドにふさわしいもの、本当に満足のいくものにしなければならなかったんです。

秀島:いろんな組み合わせを試していくなかで、悩んだところは、どれもおいしかったことなんですよ。ビールがおいしいと一言でいっても、いろいろなおいしさがありますよね。そこから私らはどれを選ぶのか。そこを決めるのに、非常に時間がかかったということです。

――いわば、「マスターズドリーム」ブランドに新たなビールが加わったことで、みなさんにとっての「夢のビール」を定義し直すことになった、と。

秀島:数値で測って、「これを満たせば『マスターズドリーム』の名に相応しい」という明確な基準があるわけではないですからね。木樽熟成という製法は昔からあるものであっても、私たちが理想とするビールはまだかたちになっていない、まさに"夢"だったわけです。無から有をつくるというか、ずっと手探りで挑んできたつもりです。

■これぞ"ジャパニーズ木樽熟成ビール"

――しかし、実際に「マスターズドリーム〈山崎原酒樽熟成〉」としてかたちになったということは、何か決め手があったということでは?

20170915_2_2.jpg

新村:ひたすら試作を繰り返していくなかで、香りや余韻が大切だということはわかってきました。ただ、どんな香りや余韻を目指すのか。そこが難しくて。木樽熟成という製法では、強く印象に残る味わいをつくるのはそんなに難しくありません。しかし、香りが強すぎるとしつこくなって、ずっと飲み続けることができないビールになってしまいます。

私たちは単に個性が強いお酒をつくろうとしたわけではありません。あくまでもビールであり、そこから離れすぎないことが大切でした。この「マスターズドリーム〈山崎原酒樽熟成〉」は、ビールらしい特徴は残しつつも、木樽熟成らしい個性も兼ねそなえたビールになったと思います。そこが大きな決め手ですね。

――個性が強いビールであっても、ずっと飲み続けられる、ということが重要だったんですね。

秀島:私は「マスターズドリーム」を説明する際に、「これはクラフトビールではありません」と言っています。クラフトビールにはおいしいものがたくさんありますが、個性が強すぎて、何杯も飲めるものが多くないんです。これは我々のビール哲学からいうと違う。

私たちが考えるビールとは、何杯も飲めて、しかもおいしさがずっと続くもの。それを実現したのが「ザ・プレミアム・モルツ」というブランドです。「マスターズドリーム」にも、この「マスターズドリーム〈山崎原酒樽熟成〉」にも、その哲学は一貫しています。

――ビールというと、「まず一杯」というイメージが強い人も多いと思います。しかし、ビールをずっと飲み続ける人は意外と少ない。途中でほかのお酒に変える人が一般的な印象です。

20170915_2_3.jpg

秀島:大げさですが、私たちは「マスターズドリーム」というブランドを通じて、そういう日本のビール文化を変えたいと思っています。「マスターズドリーム〈山崎原酒樽熟成〉」でいえば、明らかにほかにはない個性があるが、ずっと飲み続けることもできる。ビールそのものを愉しめるビールを実現できました。

新村:ただ尖っているだけでない、日本人のビール観に合うビールです。これこそ"ジャパニーズ木樽熟成ビール"だと、個人的には思っています。

印象に残る個性とビールらしさを両立させるバランスの難しさ。それをいかに追求していくかに、サントリービールの醸造家たちの苦労があった。対談の後編では、2人が考える"ビールのおいしさ"の正体についても迫る。

PAGE TOP

TOP>スペシャル>ジャパニーズ木樽熟成ビールの誕生には5年かかった 特別な「マスターズドリーム」をめぐる醸造家対談・前編

  
外で愉しむ

ストップ!未成年飲酒・飲酒運転。
妊娠中や授乳期の飲酒はやめましょう。
お酒はなによりも適量です。のんだあとはリサイクル。

COPYRIGHT © SUNTORY HOLDINGS LIMITED. ALL RIGHTS RESERVED.

記事の感想などお聞かせください 閉じる
記事の感想などお聞かせください 閉じる