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ビールの肴になるカルチャー

植木等も寅さんも、名画が描く生活に寄り添うビールたち ビールが出てくる映画6作品

2017年9月15日

ビールが飲みたくなるのは、どんな気分の時だろう? 何かを達成した瞬間、ものすごく暑い日、落ち込んで飲まないとやっていられない時......あらゆるシーンにぴったり合うのはビールの魅力のひとつ。ある意味、最高の小道具でもある。ビールはスクリーンの中で、登場人物たちに何をもたらしてきた? ビール好きに観てほしい、6つの映画を選んだ。

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価格:3,800円+税 発売元:アスミック・エース
販売元:松竹 ©2013「舟を編む」製作委員会

『舟を編む』(2013年/監督:石井裕也)
下宿先の大家の孫・香具矢に恋をしてから出版社社員の馬締は仕事が手につかない。同僚のアドバイスでラブレターまで書くが、なかなか渡せずにいた。チャンスが訪れるのは、香具矢がつくったこんにゃくの煮物をつまみに、物干し場で缶ビールを一緒に飲むことになった夜のこと。何度も缶ビールをあおる馬締の所作に緊張感が表れているが、実は2人はすでに両想い。観ていると何となく照れくさくなる。馬締はいよいよ意を決して、ラブレターを渡すが……。馬締の仕事は、新しい国語辞典「大渡海」の編集業務。彼が【恋】の語釈をどう書いたのか、注目してほしい。
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価格:4,500円+税 発売・販売元:東宝

『江分利満氏の優雅な生活』(1963年/監督:岡本喜八)
酒をきっかけに人生が変わった男の物語である。江分利満氏は洋酒メーカーの宣伝部に勤めるサラリーマン。日々の楽しみは、会社帰りに酒を飲み歩くこと。ビールからウイスキーまで次々と酒をあおり、くだを巻く様は同僚たちから敬遠されるほどだ。しかしある時、酒の席で出会った雑誌の編集者たちから小説の執筆を依頼され、書き上げたそれがなんと直木賞を獲得してしまう。祝杯の場にはビールが並び、江分利氏はここぞとばかりに酔いしれる。物語の大部分は主人公の平凡な日常だが、主演の小林桂樹と監督の岡本喜八が作り上げたその世界はどこまでも鮮やかで、引き込まれる。
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価格:3800円+税 発売・販売元: TCエンタテインメント ©「そこのみにて光輝く」製作委員会

『そこのみにて光輝く』(2014年/監督:呉美保)
舞台は夏の函館。仕事を辞め、怠惰な日々を送る達夫。パチンコ屋で拓児という青年と知り合い、やがてある事情を抱えた拓児の姉・千夏と関係を持つようになる。どん底の生活から徐々に這い上がってゆく達夫たちたが、夏祭りの夜に拓児が事件を起こしてしまう――。劇中、彼らはよくビールを口にする。千夏が働く寂れたスナック、ジンギスカンの店、食堂、達夫のアパートの部屋……。あまり冷えていなそうな泡立ちもいまいちなビールだが、夏の気だるさから逃れるように、それでも美味そうに飲む。浮かない日々を過ごす彼らにとって、ビールは輝くための術の1つなのかも。
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価格:3,990円(税込)発売元:アスミック、フジテレビ 販売元:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント ©2010「ノルウェイの森」村上春樹/アスミック・エース、フジテレビジョン

『ノルウェイの森』(2010年/監督:トラン・アン・ユン)
高校時代に親友を失って以来、友人をつくらず孤独な大学生活を送っていたワタナベ。しかしある時、同級生の緑と親しくなり、彼女の家で昼食をご馳走になることに。ベランダでビールグラスを傾けながら2人はとりとめもない話を続け、そしてどちらからともなくキスをする。ワタナベは死んだ親友の恋人・直子を大切に想っていたが、同時に緑にも強く惹かれてゆく。映画の原作者である村上春樹の小説の中でも、いちばんと言っていいほど爽やかな恋愛シーン。お馴染みのビールもしっかり描かれている。
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価格:4,500円 + 税 販売元:東宝

『ニッポン無責任時代』(1962年/監督:古澤憲吾)
舞台は酒造会社。植木等扮するサラリーマンが、口のうまさを武器に出世街道を駆け上がってゆく。ミュージカルシーンもあるコメディ映画だが、植木の佇まいはどこか不気味で底が知れない。劇中、宴会などでビールは多々登場するが、印象深いのは会社員たちがビールジョッキで乾杯するシーンだろうか。仕事終わりのビールを皆いかにも美味そうに飲む。ジョッキがやたら大きいのは、時代の勢いが反映されているのだろうか。しかし、植木等が演じているような人物が現代の社会にいたら、一体どんな感じになるのか。いてほしいような、そうじゃないような。
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価格:1,800円+税 発売・販売元:松竹 ©1986 松竹株式会社

『男はつらいよ 幸福の青い鳥』(1986年/監督:山田洋次)
第37作は寅さんが若い恋人たちの仲を取り持つストーリー。いなくなった恋人を探しに柴又を訪れた青年、健吾。「とらや」で瓶ビールを飲みながら草団子をかじる健吾に、たまたま居合わせた寅さんが「失恋したか」と話しかける。「何でそんなことわかるんすか」「幸せな男が団子とビール、一緒に食うかい」と、失恋した他人を世話するときの寅さんはどこか楽しそうだ。実は健吾が探している女性というのが、寅さんが旅先で知り合った女性。最後には寅さんの後押しもあり、無事に結ばれる。恋人同士を演じたのが長渕剛と志穂美悦子、後に本当に夫婦となる2人だ。
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